逆張り投資に向いた銘柄

逆張り投資に向いた銘柄
KxShareの磯野です。今回のテーマは「逆張り投資に向いた銘柄」です。以前のコラム「順張り投資のすすめ」では投資判断の成否が分かりやすく資金効率がよいという点から順張り投資を推奨しました。しかし、どうしても上がっている株を買うのに抵抗がある、単純に逆張り投資が好きという方も少なくないと思います。そんなあなたに逆張りに向いた銘柄を紹介します!
逆張り投資とは?
「逆張り」とは投資手法の一種で、相場の下落局面で買い、上昇局面で売る方法です。株価が適正水準よりも大きく下落したときに買いを入れて、反発したところで売るといった市場の流れに逆らうような投資スタンスです。反対に、相場の上昇局面では買い、下落局面で売るといった市場の流れに合わせた投資手法を「順張り」と言います。
逆張りではファンダメンタルズ分析を用いて本来の企業価値よりも割安になっている銘柄に投資するのが基本です。逆に本来の企業価値よりも割高になっている銘柄を空売りすることもあります。割安(割高)で放置されている株価が時間経過とともに再評価されて適正株価に戻る過程で利益を得るのです。
一見すると単純な話ですが、逆張り投資には注意点があります。まず株価が割安ということは、市場参加者がその企業の業績見通しが暗いとみなしていることを意味します。先行きが暗い企業ですので、投資を開始した時点からさらに業績が悪化して株価がより一層下がる可能性も少なくありません。本当に株価が割安圏だったとしてもその企業が再評価されるまでに数年単位の時間がかかることも珍しくありません。想像してみてください。割安だと思って買った株がそこからさらに半値になり、上昇まで5年間耐えることがあなたにできるでしょうか?
このように簡単に見えて実は難易度が高い逆張り投資ですが、いくつか成功しやすい方法があります。
市況産業銘柄
市況産業とはその時の相場によって価格が左右されるような製品を生産している産業です。需給関係が最も大きな価格変動要因になります。具体的には石油・石炭・鉄鉱石などの天然資源、鉄鋼・ガラス・穀物・木材・紙・セメント・半導体などの素材・部品産業、海運・空運・陸運などの輸送業です。
これらの市況産業の共通点は何でしょうか。それは日常生活や各種産業を支える上で必須であること、代替手段が乏しいことです。例えば、車や大規模建築物を作る際に鉄は必須です。需要の増減こそあれども鉄自体が全く必要なくなる可能性は限りなく低いでしょう。景気悪化によって鉄の需要が減少したとしても、また景気が回復すれば鉄の需要も回復します。もしくは鉄鋼の過剰生産による価格下落が起こり利益を出せなくなったとしても、時間がたてば生産調整が行われ需給バランスは改善します。
市況産業では基本的に好況と不況のサイクルが繰り返されます。そのため不況時に株を買っておけば、次の好況時には株価上昇が期待できるのです。もっとも不況の度合いが深刻過ぎるとそのまま会社自体が倒産してしまうこともあるため、その点は見極めが必要です。不況時に倒産した市況産業企業の例としてはかつての日本航空があります。もっとも市況産業はビジネスモデルが成熟したものが多く世界的に寡占化が進み企業体力が強くなっている傾向があります。そのため好況不況の波はあったとしても企業自体が倒産する可能性は低くなっています。鉄鋼の例でいえば、2023年現在における日本国内の鉄鋼メーカーは日本製鉄(5401)、JFEホールディングス(5411)、神戸製鋼所(5406)の3社に集約されています。
これがサービス産業などの場合、停滞から立ち直れない場合も少なくないので逆張り投資には向いていません。例えば、飲食店チェーンの場合、ある店が潰れても代わりの店がいくらでもあります。ゲームやインターネットサービスはより面白いものより便利なものが出ればあっという間に取って代わられます。
本業とは関係性の薄いスキャンダル
企業のスキャンダルは多くの場合、株価の下落要因になります。しかし、スキャンダルにも本業に大きく影響する深刻なスキャンダルとイメージが悪いだけで本業への影響が小さいスキャンダルの二種類があります。後者のスキャンダルによる株価下落であれば、業績への悪影響がないことさえ分かればすぐに株価は戻ります。
本業に大きく影響するスキャンダルは以下のようなものです。食品メーカーにおける食中毒や産地偽装、車や家電などにおける深刻な欠陥発覚、カリスマ経営者の退任(やる気がなくなった、急死、逮捕など)などが該当します。その企業の製品やサービスのブランドを貶め、企業価値を毀損するようなスキャンダルで株価が下落した場合、その企業に逆張り投資をするのは分の悪い賭けといえます。例えば、粉飾決算が発覚したカネボウは上場廃止となった後に解散・会社消滅しています。つまりカネボウの株を持っていた人はそれが無価値になったということです。
逆に本業への影響が小さいスキャンダルは以下のような場合です。例えば、鉄鋼メーカーの社長が不倫して週刊誌にすっぱ抜かれたとしても業績への影響はほとんどないでしょう。鉄製品の顧客は一般消費者ではなく建設会社や自動車メーカーといったBtoB産業です。顧客であるメーカーにとっては鉄の品質と価格が重要なのであり、社長の不倫には興味はありません。せいぜい関心を示してもゴシップ的な面白さであって、取引内容を見直すようなことはしないでしょう。
スキャンダルの具体例は千差万別で一般化することは難しいのですが、本業への影響が軽微なのであれば企業のスキャンダルは投資の好機です。
まとめ
- ・逆張り投資は株価が下がっているときに買い上がっているときに売る投資手法。
- ・市況産業では企業の業績・株価は好況と不況のサイクルを繰り返す。
- ・本業への影響が軽微なスキャンダルで株価が下がれば投資のチャンス。
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