投資信託とヘッジファンドの違いとは?

投資信託とヘッジファンドの違いとは?
皆様はじめまして。KxShareの大村と申します。
いきなりですが投資信託とヘッジファンドとでは、その仕組みや運用手法について何が異なるのでしょうか。
これらについて、なんとなくの理解の方も多いことと思います。そこで今回は、タイトルにもありますように「投資信託とヘッジファンドの違い」についてコラムを書かせていただきます。このコラムを通じて皆様が、投資信託とヘッジファンドへの理解をより明確にすることができれば幸いです。
はじめに
さて、「投資信託とヘッジファンドの違い」を見ていくためには、双方について詳しく知る必要があります。そのため、投資信託とヘッジファンドとは何かを解説した上で、その違いについて迫っていくことにします。
投資信託とは
まず、投資信託について見ていきましょう。
投資信託とは、投資信託協会によると「投資家から集めたお金をひとつの大きな資金としてまとめ、運用の専門家(プロ)が株式や債券などに投資・運用する商品で、その運用成果が投資家それぞれの投資額に応じて分配される仕組みの金融商品」のことです。
また、一緒くたに投資信託といっても様々な種類があります。種類というのは、形態や投資対象のことです。形態には大きく、会社型投資信託と契約型投資信託があり、日本においての主流は、契約型投資信託の方になります。契約型投資信託には、さらに枝分かれして委託者指図型投資信託や委託者非指図型投資信託などがあり、現状の多くは委託者指図型投資信託です。投資対象としては、主に株式や債券などの伝統的な資産への投資がなされています。一方、会社型投資信託の代表的なものには、不動産投資信託があります。
投資信託の特徴として、一般的に公募のものが多く、小額からでも出資することができるため、大衆向けであると言えます。さらに、その多くは主に株式や債券を投資対象にしているのです。
※ただし、中には機関投資家向けの私募投資信託もあります。
ヘッジファンドとは
次に、ヘッジファンドについて見ていくことにしましょう。ヘッジファンドは、「①私募により機関投資家や富裕層から資金を集め、運用の専門家(プロ)が株や債券などの伝統的資産に加え②オルタナティブ資産へも投資し、かつ③絶対収益の運用」をします。
用語を整理しましょう。
①「私募」…特定の投資家や適格機関投資家などのプロ機関投資家を対象に勧誘すること。※不特定多数の人に勧誘をする「公募」に対して使われる。
②「オルタナティブ資産」…非公開株式やデリバティブ(金融派生商品)のこと。
※上場株式や債券などの「伝統的資産」に対して使われる。
③「絶対収益」…市場の動向に左右されず常にリターンを目指すこと。
※市場におけるベンチマークを上回るリターンを目指す「相対収益」に対して使われる。日本の株式への投資であれば、TOPIX(東証株価指数)がベンチマークに設定されることが多い。
①から分かるように、ヘッジファンドに投資できる人には条件があります。例えば、資産○○千万円以上というようにです。そして多くの場合、上場株や債券以外の②非公開株式や金融派生商品にも投資し、その運用方法も買い(ロング)と売り(ショート)などを組み合わせるなどして③市場の動向によらずリターンを目指すのです。補足として、市場が伸びているときに株を安く買って高く売れば儲かることは誰しもが理解できると思います。一方で、市場が冷え込み、株価が下がっていく時でも、空売りなどを駆使することで収益を上げることができます。
空売りとは、信用取引の一種で株式をどこかから借りてきてそれを売り払うというもので、売った時よりも安い値段で株を購入し返還することで収益を得ることができます。
ここまで投資信託とヘッジファンドを別々に見ていきましたが、違いだけでなく同じところも存在します。それは資金を集めそれを専門家(プロ)が運用するという点です。ここを押さえた上で、題材であるそれぞれの違いについて見ていきましょう。
投資信託とヘッジファンドの違い
投資信託とヘッジファンドの違いの1つ目として、顧客対象の違いが挙げられるでしょう。投資信託ではその多くが公募であり、一般大衆を顧客としています。加えて、出資も小額から行えるものがほとんどです。一方で、ヘッジファンドは私募であるため、対象とする顧客は豊富な資本を持った機関投資家や特定の個人投資家に制限されます。
2つ目は、取り扱う投資対象の違いです。投資信託には投資信託約款があるために規制が多く、扱える投資対象は伝統的資産が中心になります。一方で、ヘッジファンドは先で述べた通りオルタナティブ資産への投資もできるのです。
3つ目は、運用方法です。投資信託は、ベンチマークよりも少し高いリターンを目指す相対収益追求型が多いのに対して、ヘッジファンドは、信用取引など様々な取引手法を駆使して市場の動向に関係なく、常にリターンを目指す絶対収益追求型が多いです。しかし、絶対収益追求型の投資信託や相対収益を目指すヘッジファンドなども存在するため、あくまで傾向の話しになります。
まとめ
以下要点を表でまとめるとこうなります。
投資信託 | ヘッジファンド | |
顧客対象 | 公募が主流 (機関投資家向けの私募投資信託も存在する) | 私募 |
運用形態 | 市場(ベンチマーク)に連動するタイプのものが多い | 様々な投資手段を駆使する絶対収益追求型が主流 |
投資対象商品 | 上場株式や債券などの伝統的資産が中心 | 株式や債券以外のオルタナティブ資産への投資も行う |
ヘッジファンドに対してハイリスク・ハイリターンな印象がある方が多いと思われますが、ヘッジはリスクヘッジなどで用いられるように、リスクを避けたり予期したり起こり得るリスクに備えたりすることを意味します。ヘッジファンドは、たとえ市場動向が悪かったとしても空売りやオルタナティブ資産への投資を駆使することで収益を目指すことができ、これがリスクへの備えに繋がっているのです。
参考にした資料
参考にした資料
・証券用語解説集 野村証券 URL:https://www.nomura.co.jp/terms/
・みずほ証券 ファイナンス用語集 URL:https://glossary.mizuho-sc.com/?site_domain=default
・みずほ不動産用語集 URL:https://www.mizuho-re.co.jp/knowledge/dictionary/
・山下耕太郎 「ヘッジファンドとは?投資信託との違いを元証券マンが解説」
URL:https://www.wealthpark-alt.com/article/tips/hedgefund/001/
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