機関投資家とは?

機関投資家とは?

みなさんこんにちは。KxShareの大村です。
投資家を大別すると一般投資家と特定投資家に分かれますが、特定投資家の中でも機関投資家にはどのようなものが該当し、その資金運用にはどのような特徴があるのでしょうか。今回はそんな機関投資家を題材にコラムを書かせていただきました。

初めに

機関投資家は、法令用語で“適格機関投資家”と呼ばれ、「有価証券に対する投資に係る専門的知識及び経験を有する者として内閣府令で定める者」を指します。簡単に言い換えると「“大量の資金”を投資・運用をしている専門家(プロ)」のことで、いわば、法律で認められた投資の専門家です。実は前回私が担当した当社コラム「投資信託とヘッジファンドの違い」にて、投資信託の説明も同じようなことが書かれていました。それは、投資信託の運用会社も機関投資家の一つだからです。
読んでいない方はぜひ。

投資信託とヘッジファンドの違いとは?

ただし、一概に機関投資家といっても、政府系金融機関から個人までその形態は様々です。そのため、機関投資家を大枠のまま理解しようとしても、曖昧なものになってしまいかねません。したがって、具体的な機関投資家の例を覗き見ていていくことで、理解を深めていくことにしましょう。

また、機関投資家になるためには、満たさなくてはいけない条件などもあります。例えば、個人が機関投資家になるためには、次のような条件を満たした上で金融庁長官に届け出をしなくてはなりません。

条件

① 当該個人が保有する有価証券の残高が十億円以上であること。
② 取引を行うための口座を開設してから1年以上経過していること。

一般の方々(金融業界に精通していない人)からは遠い存在のように思われる機関投資家ですが、実は身近に存在し、日頃の生活の中で利用しています。

 

機関投資家と私たち

機関投資家にどんなものがあるかは初歩中の初歩になりますが、それぞれがどんな特徴の資金運用をしているか再確認をすることは有意義なことではないでしょうか。その中でも、日頃の生活とも深く関わりのある機関投資家について見ていくことにしましょう。例えば、保険会社や銀行、年金基金も私たち個人から預かった資金を投資し運用している機関投資家に当たります
ここからは「保険会社・銀行・年金基金」この三者の機関投資家を個別に見ていくことにします。


 

機関投資家①保険会社

まず初めに見ていくのは保険会社です。保険は予め、事故や病気、死んでしまうリスクに備えて加入しておき、万が一の時まとまったお金を受け取ることができる金融商品です。ですが、考えてみると、万が一の事態が起こるまで、私たちが払っている保険料はそのまま現金で保管されているのでしょうか。答えは、そのほとんどは現金ではなく、運用に回されています。つまり、保険会社にとっては、保険加入者の保険料が運用資金となるのです。また、保険会社の運用の特徴としましては、支払発生時に確実に資金を確保しておく必要があるために、いわゆる安全資産と呼ばれる債券などを軸に、リスクを抑えた分散投資を行っています。また、安定した収益を上げ続けることが責務となりますので、主に中長期的な視点での投資が行われています。

 

機関投資家②銀行

次に銀行を見ていきましょう。ひとえに銀行と言っても、大別すると、銀行業務を行う普通銀行と信託業務を行う信託銀行があります。しかし、その両方を行っている銀行が多いです。いずれにせよ、どちらの銀行も機関投資家に当てはまります。普通銀行に預けたお金は、銀行から個人や企業への融資として巡っていきます。このことを間接金融と言います。間接金融という言葉自体は、中学や高校で習ったという方も多いのではないでしょうか。また、それとは別に為替取引も行っています。これらの貸し付けや為替取引も、立派な資産運用の1つです。
信託銀行は、個人や法人が持つ、お金・株・土地などの資産を預かり、本人に代わって資産を管理・運用し、管理報酬を顧客から得ることで利益を出しています。銀行の機関投資家としての特徴は、長期的な視点での資金調達・資産運用がなされている点と言えます。

 

機関投資家③年金基金

そして、年金基金も機関投資家です。運用資金は年金積立金からなります。GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)というところが運用を行っており、資産運用額はなんと190兆円を超えます。さらに、2020年度は37兆円以上もの黒字を出しています。運用額が桁違いなだけに、その運用によって得られる利益も莫大なものとなるのです。

では、なんのために年金積立金が投資・運用されているのでしょうか。日本では、高齢者の生活を年金によって、その子や孫の現役世代が支える仕組みになっています。ですが、みなさんご存じの通り、少子高齢化によってそのシステムは限界を迎えつつあります。そこで、将来に備えて、公的年金制度の継続のために積立金を運用してお金を増やしているのです

次に、年金基金の機関投資家としての特徴はどうでしょうか。大きな特徴は2つです。1つは、長期的な視点での投資・運用がなされている点です。将来のために継続的に積立金を増やしていくことが目的ですから、安定的な収益を上げ続けることが求められているのです。
2つ目は、分散投資です。国内債券・国内株式・外国債券・外国株式にバランスよく投資を行っています。様々なものへ投資をすることで、リスクを分散させているのです。分散投資は頻繁に、「卵は一つのカゴに盛るな」の格言で紹介されています。ここからも分かる通り、全ての卵(資金)を同じカゴに盛ってしまっては、カゴを落とした時すべてが割れてしまいますが、複数のカゴに卵を分散させて盛っておけば、たとえ1つのカゴを落としてしまっても、卵全てが割れてしまうことは避けることが出来るということです。
この例えと、実際とで少し違うのは、債券の価格が下がった時、株式の価格は上がるなどして逆相関が起こり得るということです。そうすると、プラス分とマイナス分が打ち消し合ってくれるので損をする確率が減り、より安定的になります。


上記表:GPIFホームページより引用(URL https://www.gpif.go.jp/lp/ )
※GPIFが取り組みについて動画があるので、興味がある方は見てみて下さい。
「GPIFってなに?」https://youtu.be/4IXIFWdqAC8

 

まとめ

ここまで、保険会社・銀行・年金基金と見てきましたが、意外にも機関投資家は、日頃の生活に身近なものも含まれていたのです。今回紹介した以外にも、大学基金や農協、証券会社なども機関投資家に当たります
機関投資家は、大量の資金を運用しているだけに、総じて市場への影響力が強いです。また、法律が認めた投資の専門家であることから、金融商品取引法上の行為規制の適用が一部除外されていることも一般投資家と異なる点でしょう。
最後にもう一度整理すると、機関投資家とは、内閣府令で定められた投資の専門家であり、その形態は金融機関から個人まで様々ですが、“大量の資金”を運用しているという点は同じです。また、機関投資家の中には、普段の生活と身近なものも多く存在しています。

 

本日のポイント整理

機関投資家は、
・普段の生活と身近なものも多い
・大量の資金を運用しているため、市場への影響が強い
・法律で認められた投資の専門家で、一般投資家に比べて規制で優遇を受けている。

資産運用の特徴
① 保険会社…安全資産を軸にリスクを抑えた分散投資。中長期的な視点での運用。
② 長期的な視点での資金調達・資産運用。
③ 長期的な視点の基、国内債券・国内株式・外国債券・外国株式にバランスよく分散投資し運用。

 

参考にした資料

・一般社団法人信託協会 「信託銀行とは」
  URL:https://www.shintaku-kyokai.or.jp/trust/trustbanks/
・金融商品取引法第2条3項1号
・適格機関投資家の範囲と届出 金融商品取引法第二条に規定する定義に関する内閣府令(平成五年三月三日号外大蔵省令 第十四号)
URL:https://www.fsa.go.jp/common/law/tekikaku/00.pdf
・日本証券業協会 用語集 検索用語「適格機関投資家」
URL:https://www.jsda.or.jp/about/jishukisei/words/0189.html
・日本生命 「日本生命の資産運用について」
  URL:https://www.nissay.co.jp/kaisha/otsutaeshitai/shisan_unyou/houshin/
・野村証券 証券用語解説集 検索用語「適格機関投資家」
URL:https://www.nomura.co.jp/terms/japan/te/A02373.html
・GPIF 年金積立金管理運用独立行政法人 「GPIFって、なに?」
  URL:https://www.gpif.go.jp/lp/
・SRコム「機関投資家とは?その役割と国内外の主な機関投資家、投資手法まで徹底解説」
URL:https://www.wills-net.co.jp/article/investment/64/
 

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