2023年、インドが人口で世界1位に!インド時代の幕開けへ。その成長の秘密とは?

2023年、インドが人口で世界1位に!インド時代の幕開けへ。その成長の秘密とは?

皆さんこんにちは!日本株ヘッジファンドを運用するスタートアップKxShare株式会社インターン生の大村です。いきなりですが、私はカレーが大好きです…。おっと、たまたま今回は“インド”が題材でした!
雑なフリではありますが、、さっそく本題に入っていこうと思います。
南アジアに位置し、広大な国土を誇るとともにタージ・マハルなどの芸術的な世界遺産でも知られるインド。今回はそんな、スパイスの香り立ち込める「愛と魅惑の国」の発展の裏側に迫ります。

 

インドの成長と世界への影響力

2023年、インドが人口で中国を越し、人口数世界一へと躍り出ることが国連の「世界人口推計2022(World Population Prospects 2022)」によって明らかにされました。

世界、中国、インド、日本の人口推移見通し

出所:国連「世界人口推計2022」(中位推計)を基にジェトロ作成
URL:https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/2022/db12433a352ecc90.html

しかしながら、インドが人口を増加させている一方で、中国は2022年内、実に61年ぶりに、人口が増加から減少に転じました。理由としては、1979年~2015年までの30年以上にわたり行われてきた一人っ子政策によって人口増加が徐々に抑制され、ピークに達したためです。インドの人口増加と中国の人口減少が重なったことで、現在の人口数1位と2位の国が入れ替わるのです。さらに、インドは人口だけでなく、GDPでも2027年には日本を抜き、世界第3位になる見通しです。これまでの中国に変わり、インドが世界の成長のセンターに躍り出るのです。

このことから、日本企業においても、インド進出の気運は白熱しています。下記記事で語られている、スズキやヤマハ以外にも、日精ASBも工場をインドに進出させました。また、インドの成長を見越したインパクトHDはインド最大のコーヒーチェーン「Café Coffee Day」とともに合弁会社を設立させ日本式コンビニ「エッセンシャルズ」を展開させていきました。2020年、業績は急成長していましたが「Café Coffee Day」創業者の突然死を皮切りに、コンビニ事業への出資金1,675百万円が創業者個人所有企業への貸付に流用されていたことが判明。コロナによる営業不振とのダブルパンチとなり、残念ながら2023年3月31日をもって完全撤退することが決まっています。

 


“日本企業の「インド進出熱」過熱 スズキやヤマハなど大増産 新興市場への生産・輸出拠点に”
1月11日(水) Yahoo!ニュースより引用
URL:https://news.yahoo.co.jp/articles/8753bf11e5e36350567a00f3425b82bc6c0518cc
 
“インドで急成長する日本式コンビニ「エッセンシャルズ」”
2020年4月8日 ジェトロ 地域・分析レポートより
URL:https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/2020/3904f9d3016bc630.html

最近ではインド出身者の世界での活躍も目を見張るものがあります。というのも、世界のトップ企業の重役にインド人が名を連ねているのです。具体的には、GoogleやMicrosoft、Adobeといった一大企業のCEOがいずれもインド出身です

Googleサンダー・ピチャイ ※いずれもCEOインド、チェンナイ出身
Microsoftサティア・ナダラインド、ハイデラバード出身
Adobeシャンタヌ・ナラヤンインド、ハイデラバード出身

そんな、世界でも影響力を持つインドですが、インドがどのような国か知っていますか?

 

インドってどんな国?

インドのことについてすこぶる詳しいという人は、日本において、ごくわずかなことでしょう。私と同じように、インドと聞くとスパイスの国やカレーなどを連想する人も多いのではないでしょうか。しがないカレー好きの余談ではありますが、インドカレーと日本のカレーは似て非なるものです。インドカレーが複数のスパイスを調合して作られるのに対し、日本の一般的なカレーは小麦粉を用いたカレールウを使用します。したがって、日本のカレーにはとろみがありますが、インドカレーにはとろみがありません。また、多くの人が勘違いしがちなのが、インドカレーといえばナンという発想です。実は、現地でナンは高級品とされ一般的にはあまり食べられていないそうです。代わりに、インド人の多くが食べているのはチャパティという食べ物です。

チャパティ

インドカレーと日本のカレーについて詳しくなりたい方はこちらをどうぞ(笑)↓
リンク:「インドカレーとは?日本のカレーとの違いを解説」
URL: https://nishikiya-shop.com/column/119

カレーで話が少し脱線してしまいましたが、実際にインドとはどのような国かを、インドの宗教や特徴的なカースト制度の側面から見ていくことにしましょう。

まず、インドの宗教で大半を占めるのはヒンドゥー教で人口の八割ほどです。しかし、その割合は年々減少傾向にあります。一方でイスラム教が、1991年11.7%から2011年14.2%と増加傾向にあります。

次にインドのカースト制度は別名、ヴァルナ・ジャーティー制とも呼ばれ、インドの大半を占めるヒンドゥー教にまつわるものです。階級は、バラモン、クシャトリア、ヴァイシャ、シュードラの順に4つあり、アチュートはカースト外に位置します。なお、1950年には憲法によって、カースト制度が禁止されています。しかしながら、その影響は現在に至っても根深く残っており、基本的に職業は世襲制です。例外として、ITなどの新しい職業分野は、その限りではありません。

ヒンドゥー教徒 79.8%
イスラム教徒  14.2%
キリスト教徒  2.3%
シク教徒    1.7%
仏教徒     0.7%
ジャイナ教徒  0.4%
(2011年国勢調査による)

ヴァルナ制度(所謂カースト制度)

引用元:ヴァルナ制度 世界の歴史マップ
URL:https://sekainorekisi.com/glossary/%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%83%AB%E3%83%8A%E5%88%B6/

またインドは、その国境を巡り、パキスタンと中国のそれぞれと紛争を起こしています。

インドとパキスタンとの確執は1947年(第一次印パ戦争)にまでさかのぼる必要があり、カシミール地方の帰属をめぐってのものです。1949年には国連の調停によって停戦ラインが引かれましたが、現代でも頻繁にテロ行為が繰り返されています。また、宗教戦争としての側面も見ることができます。先で述べた通り、インドでの宗教割合にてヒンドゥー教が八割ほどで大半を占めるのに対して、パキスタンではイスラム教が9割を超える一大宗教なのです。

さらに、カシミール地方にて1962年には中国もインドと衝突しており、現在カシミール地方は中国・インド・パキスタンの三国で分割統治されています。また、2020年には中国とインドが再び衝突し、45年ぶりに死者が出る事態となっています。カシミール地方における今後の展望について、公安調査庁は「カシミール問題は,インド及びパキスタンの双方にとって歩み寄りが困難な帰属をめぐる問題であるため,近い将来にカシミール地方の情勢が大きく変わる可能性は低いとみられる。こうした中,LeT等過激組織は,ジャム・カシミール州内において,引き続きインド軍等に対するテロを実行していくものとみられる。」との見解を示しています。

⇒ 参考元:公安調査庁 カシミール地方
  URL:https://www.moj.go.jp/psia/ITH/situation/SW_S-asia/Kashmir.html

 

成長の要因

ここまでインドについて見てきましたが、人口増加の背景には何があるのでしょうか。それは、医療水準の向上です。これにより、乳幼児の死亡率が低下し、人口が増え続けるとの見通しなのです。経済発展の一因となり得る人口増加ではありますが、食糧難や雇用、格差といった課題も同時に顕著に表れる可能性があることには留意する必要があるでしょう。では、人口増加以外にインドの成長を支えているのは何でしょうか。1つは、間違いなくIT産業の発展ですが、これについては段落を分けて後述します。IT産業以外で見ると、インド特有の教育方針モディ首相の功績も大きい要因の一つです。

インドにおける義務教育は5歳からの8年間で、その後中等学校が2年、上級中等学校が2年と続きます。インド式教育において特徴的なのは数学教育です。たとえば、インドでは小学生のうちに掛け算を20段まで暗記するそうです。また、ITと密接な関係のある統計に対しても重点を置いており、必修分野としてデータ処理を学ぶようです。更に学年が上がると、パソコンを用いての図表の作成や、プレゼンテーションへの活用など、実践的な学びを行っています。もちろん、インドにはカースト制度がありますので、カーストによって学校も異なっており、一概には言えませんが。ただ、私立に入学するような中間層以上になれば、英語教育も十分に受けており準公用語の英語を流暢に話すことができます。また、インドではIT産業に憧れを抱いている人が多く、理系専攻に意欲的です。加えて、大学のレベルも高くインド工科大学を筆頭にインド理科大学院なども世界大学ランキングにトップ200にランクインしています。以上のように、数字に強く実践的な教育を施していることも、インドの成長を支えている一つではないでしょうか。

モディ首相は、2014年4月よりインドの首相を務めており、大きな功績としては、①ビジネス環境の改善②金融包摂の進展(金融サービスへのアクセス改善)③マクロ経済の安定性向上の3点が挙げられます。
①には、インド国内のインフラ整備も挙げられ、物流の中で最も重要な役割を果たしている道路については、国内各所で国道の改修・新区間の開通、デリー首都圏周辺の高速道路の開通、インド東北部とミャンマー北西部を結ぶ国境近辺道路の整備などが実施されました。
②では、口座維持手数料を無償化し、銀行口座の開設が困難であった低所得者層の口座開設を可能にしました。2018 年末時点で3億以上の口座が開設されていて、15歳以上の口座保有率は、50%から80%以上にまで向上しました。これは、貧困層への補助金を口座振り込みにて行うことを可能しています。加えて、口座への補助金給付による預金残高の増加や家計の引出・送金は商業銀行の預金・収益獲得機会となることから、各行が積極的口座開設キャンペーンを展開するインセンティブともなりました。
③においては、補助金制度の改革や行政の効率化などを通じて、財政赤字の削減が進められました。その結果、前政権下で5%程度だった中央政府の財政赤字の対名目 GDP 比は、3.5%に縮小しています。

また、モディ首相の統治の特徴は、「Make in India」「Skill India」などの目を引くキャッチフレーズにも表れています。

⇒ 参考元:日本総研 「モディ政権5年間の評価とインド経済の行方」
  URL:https://www.jri.co.jp/MediaLibrary/file/report/researchreport/pdf/10914.pdf

 

インドがIT分野に強いわけ

先に述べた通り、インドはカースト制度が今なお習慣的に根付いている国です。そのため、職業も世襲制となっているものがほとんどなのですが、IT分野は、新規産業であるためにカースト制度の外にあります。したがって、カーストを抜け出して活躍をすることができると気付いた優秀な人たちがIT分野に進出していったのです。そして、これはインドが教育に力を入れていたからこそ起こり得たとも考えられます。数学に強く、実践的なデータ処理を学び、大学研究機関が充実している。さらに、現在ITの最先端を行くアメリカと同じ英語を話すことができる。これらがアドバンテージとなり、インドはIT産業に強くなることができました。加えて、シリコンバレーとの時差が13時間半で、共同することによりノンストップで開発を進められるということも大きな理由といえるでしょう。
インドの有名なIT企業には、「Tata Consultancy Services」「Infosys」「Byju’s」などがあります。まとめると以下のようになります。

 当期純利益事業内容補足
「Tata Consultancy Services」43億ドル(2021年)・モバイルアプリ
・ITサービスプロバイダー
・コンサルティング
・ブロックチェーン
・クラウドソリューション
・エンタープライズアプリ
1968年に設立され、2003年には日本法人も設立されている。
「Infosys」26億ドル(2021年)・ITコンサルティング
・ビジネスコンサルティング
・テクノロジー
・エンジニアリング
・アウトソーシング
・ソフトウェア開発
1981年に設立され、日本へは1996年に進出を果たしている。
「Byju’s」非開示(評価額:8億ドル)・Eラーニング・プラットフォームインドで二番目にバリュエーションの高いスタートアップ。
また、ワールドカップ・カタール大会のスポンサーになったことでも話題に。

⇒ 参考元:GALK「インドIT企業トップ10|世界と国内でどれぐらい活躍している?」
  URL:https://www.galk-jp.com/blog/india-it-company/

 

インドの人口ボーナス見通し

まず、人口ボーナスとは、単なる人口増加のことをいうのではなく、人口構成比率における生産年齢人口(15歳〜65歳)が従属人口(14歳以下、65歳以上)の二倍以上になり、経済成長を促すことを言います。この人口ボーナス期においては、労働力が拡大し個人消費が活発化します。さらに、教育や医療を特に必要とする年少人口と老年人口が少ないために、社会福祉負担も少なくなり、資金が新たなビジネスへとまわりやすくなります。これらによって、経済成長が促されるのです。

かつての高度経済成長下の日本や、少し前の中国の経済成長の裏にも、この人口ボーナスが存在しました。下記データからも分かる通り、日本においては、出生数が非常に多い団塊の世代が生まれてから15年ほどたった1960年代より急激に日経平均株価は上昇しています。

人口ボーナスと株価の関係(日本)

出典:国際連合のデータを基に、野村證券投資情報部が作成。
※上記(人口ボーナスのスタート)は生産年齢人口がその他の人口の1.8倍の時としている

中国を見ても、高度経済成長期の日本と同様に人口ボーナス期と上海総合指数の値がリンクしていることが容易に読み取ることができるでしょう。

人口ボーナスと株価の関係(韓国・中国)

出典:国際連合のデータを基に、野村證券投資情報部が作成。
※上記(人口ボーナスのスタート)は生産年齢人口がその他の人口の1.8倍の時としている
※中国の人口ボーナス指数1.8超えは1986年だが、上海総合指数は1990年12月に創設された指数のため、株価は1990年末を採用

では、インドを見ていきましょう。

人口ボーナスと株価の関係(インド)

出典:国際連合のデータを基に、野村證券投資情報部が作成。
※上記(人口ボーナスのスタート)は生産年齢人口がその他の人口の1.8倍の時としている

インドにおいて人口ボーナスは、2011年からまだ始まって12年程度であり、予想されるピークは2040年とまだ少し先のことです。つまり、インドは絶賛成長中なのです。世界がインドに注目しているのはここに理由があります。人口が世界一位となり、ITにも強い。そのうえ、世界共通言語である英語も国内で使用されており、グローバルビジネスという観点でも強力。成長要素と成長の余白、その両方が揃うインドには、これからの様々なビジネスチャンスや投資機会が眠っている可能性が高いでしょう。少なくとも言えるのは、今後のビジネスを考える上で、インドを無視することはできないということです。しかし同時に、解決しなくてはならない課題が多く残るのも事実です。例えば、格差社会や国境紛争などです。これらの課題をどう解決していくかにこれからのインドの命運がかかっているのかもしれません。

⇒ 参考元:EL BORDE by Nomura
  URL:https://www.nomura.co.jp/el_borde/view/0032/

KxShareのヘッジファンド事業についての詳細は下記リンクをご参照ください。