【VC/ベンチャーキャピタル】とは何者か。 
~ビジネスの最先端シリコンバレーの立役者に迫る~ 前編

【VC/ベンチャーキャピタル】とは何者か。
〜ビジネスの最先端シリコンバレーの立役者に迫る〜 前編

皆さまこんにちは。ヘッジファンドのスタートアップである、KxShareの大村です。

暖かな春の訪れを感じる今日この頃、書かせていただいたコラムは「VCとは?」になります。VCとは“ベンチャーキャピタル”の略称で、そのまま“ブイシー”と読みます。アメリカの近年の成長要因となったAppleやGoogleなどの大手IT企業を語る上では欠かすことのできないVCですが、その始まりは意外にも捕鯨にありました。

一方の日本ではVCの存在自体を知らない人が多くいます。一般の生活の中では、意識することのない、言わば起業家の“黒子”のような存在のVCですが、今回はそんなVCとはどのようなものなのかと、日本とアメリカのVCの違いなどについて前編・後編の2回に分けて書かせていただきます。

VCとは?

まず、大枠から理解すると、VCとは「スタートアップに投資を行う“投資運用会社」のことです。投資家からお金を集め、集めたお金でスタートアップに投資を行います。投資対象がスタートアップであるために、投資家からみてVCファンドはハイリスク・ハイリターンな商品と言えるでしょう。そのため、期待されるリターンは年利15%〜20%以上となっています。VCは一般に運用期間を10年などと定めていて、先ほど年利回りを10年に換算すると、おおよそ3倍から5倍という計算になります。ここで興味深いのは、投資したスタートアップすべてが成功しなくても利益を回収することが出来ることです。例えば、30社投資して1社の企業価値が10倍100倍になってエグジット(上場や事業売却)をしてくれれば良いのです。つまり、将来大成功しそうなスタートアップを発掘し、支援を行い、企業価値を向上させることがVCの使命のうちの大きな一つと言えるでしょう。

※そもそもスタートアップとは
スタートアップの定義は人によってまちまちですが、起業の中でも急成長を目指すビジネスモデルであり、社会にイノベーションを起こしていく存在とも言えるでしょう。
スタートアップの初期は赤字の場合が多いです。さらに言えば、今後利益を出せるようになるかも不確実です。こうした極めて先行きが不透明な企業に対して、銀行はお金を出したがりません
スタートアップは株式を発行し、会社の持ち分を一部売り渡すことで事業のための資金を調達します。この株式を買い取るのがVCです。スタートアップが株式の売却で調達したお金は借金のような返済は、必要はありません

VCのビジネスモデル

簡単にビジネスモデルを説明すると、投資家からお金を集めて、スタートアップへ投資を行います。
「LP(Limited Partner 有限責任組合員)⇒VC⇒スタートアップ」という順でお金が流れていきます。

STARTUP DB「ベンチャーキャピタルのビジネスモデルから学ぶ、スタートアップの分析視点」
URL:https://startup-db.com/magazine/category/research/vc-business-model

また、先ほど少し述べました通り、VCはただ投資するだけではありません。資金面でのスタートアップ支援はもちろんのこと、投資したスタートアップの企業価値向上がVCの利益につながるため、そのためにできるあらゆるサポートを行います。例えば、人脈紹介や経営・販売戦略のサポートなどです。このように投資した後も積極的に支援を行っていくことを「ハンズオン」と言います。もちろん中には、ハンズオフと言われるあえて資金面以外は口出しを行わないVCや、ハンズイフと言われるスタートアップ側から頼られた際に必要なサポートを行うVCなどもあります。
ハンズオン・ハンズオフからも分かる通り、ひとえにVCと言ってもその特徴は多様です。今回は先述した支援形態に加えて、大きく3つの軸で分類を行い、それぞれの特徴について理解を深めていきましょう。

VCの組織形態

1つ目の軸は、組織形態です。
組織形態は主に①金融系VC ②独立系VC ③事業会社/CVC ④政府系VC ⑤大学系VCの5種類に分けられます。

①金融系VC

代表例:「三菱UFJキャピタル」
特徴:金融機関が母体となっているため、その資金調達力が高い。また、多くのスタートアップへ投資を行える。三菱UFJキャピタルも三菱UFJフィナンシャルグループの一員であり、累計900社を超えるIPO実績を持つ。

三菱UFJキャピタル
URL:https://www.mucap.co.jp/

 

②独立系VC

代表例:「JAFCO(ジャフコ)」
特徴:独立系はその名の通りグループ会社などに属さず、いい意味でしがらみが少ない。一方でその実、LPに大手事業会社が入っている場合も多く完全な個人で行っているわけではない。リードインベスターとしての投資やフォローオン投資、ハンズオン支援などが多い印象。JAFCO日本のVC界の老舗としても知られ、もともとは野村グループに属していたが、2017年完全独立を果たした。

JAFCO(ジャフコ)
URL:https://www.jafco.co.jp/

 

③事業会社/CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)

代表例:「CyberAgent Capital(サイバーエージェントキャピタル)」
特徴:事業会社が母体となって運用を行っており、スタートアップと事業会社の既存事業とのシナジーが期待される。投資基準では、単にスタートアップが儲かりそうかだけでなく、このシナジーが生まれるかを主軸にするところも多い。CyberAgent Capitalは、CyberAgentが母体であり、強みを発揮できるインターネット分野に特化した投資を行っている。

CyberAgent Capital(サイバーエージェントキャピタル)
URL:https://www.cyberagentcapital.com/

 

④政府系VC

代表例:「INCJ」
特徴:民間のVCではリターンを重要視するために投資が難しいような、中長期でのリスクマネーの出し手を担う。早期上場を強いられることなく、経営にも積極的な口出しは少ない印象。

 

⑤大学系VC

代表例:「東京大学エッジキャピタルパートナーズ」
特徴:大学が母体となり、大学研究機関の最先端研究や先端技術の社会実装に挑むスタートアップへの投資を行う。近年、先端研究のビジネスへの昇華がごく少数であることが大きな課題とされ、各大学が促進に力を入れている。

東京大学エッジキャピタルパートナーズ
URL:https://www.ut-ec.co.jp/

 

事業ステージ・投資ラウンド

VCを分類する2つ目の軸は、投資対象となるスタートアップの事業ステージ・投資ラウンドです。事業ステージを大きく分けると4つで、シード アーリーミドルレイタ―の順に分かれます。(投資ラウンドだとシリーズA.B.C.D等と言われます)
シード期のビジネスアイデアやプロダクトの構想から始まり、アーリー期の試作の検証・完成品のリリースを経て、ミドル・レイタ―期では、プロダクトの販売を拡大しマネタイズを確立。さらに、大きな資金調達を実施し、自社の急成長へと繋げます。
▽下記に事業ステージ・投資ラウンドについてまとまっている図を共有します。

EXPACT「シリーズAってなに?投資ラウンドや事業ステージごとの資金調達手法を分かりやすく一挙解説!」
URL:https://expact.jp/series-a/

VCの中には、投資ラウンドを定めず横断的にスタートアップへの投資を行っているところもあります。しかし、その多くは自社の強みを最も発揮できるラウンドでの投資に注力しています。例えば、日本ベンチャーキャピタル協会現会長の「赤浦 徹」氏率いる「インキュベイトファンド」は創業前後のシードステージに特化した投資を行っています。

 

投資セクター・テーマ

3つ目の軸は、投資セクター・テーマです。
セクターを定めていないマルチ分野投資をするVCも多くありますが、中には、SaaS特化やヘルステック、バイオ、サービス系など、投資ラウンドと同様に各々の強みを生かせるセクターを設定しているVCもあります。

例えば、「木下 慶彦」氏の「Skyland Ventures」はWeb3.0に特化した投資を行っており、VTuber/バーチャルライバーグループ“にじさんじ”を運用する投資先スタートアップ「ANYCOLOR」の上場は大きなニュースとなりました。

日本経済新聞「ANYCOLORの初値3.1倍 新規上場、8カ月ぶり『7連勝』」公開日:2022年6月9日
URL:https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB096G40Z00C22A6000000/

前編はここまでとなります。後編は近日公開予定となっておりますので、乞うご期待ください!!

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