金融パーソンとして知っておきたい ファンド形態“LPS”とは

みなさんこんにちは!
ヘッジファンドのスタートアップであるKxShare株式会社で、日焼けをし過ぎているセールスパーソン・東條航です。

突然ですがみなさま、「LPS」という言葉を聞いたことはありますでしょうか?

「Low Price Service」

ではありません!なんかありそうですが、小生の造語です。笑

Limited PartnerShip=投資事業有限責任組合」こちらが正解です。

投資ファンドを設立する際、組織運営や税法上でのメリットが多いといわれているのが「組合型」であり、さまざまな組合型が存在します。

今回、KxShareが実際に採用したファンド形態=投資事業有限責任組合(以下、LPS)とはどういうものなのかを深堀りしていきたいと思います。

ではいきましょーう!

と、言いたいところなのですが…!

調べている際に素晴らしいが過ぎる記事を見つけてしまいました。
それがコチラ!

投資事業有限責任組合とは|組成のポイントやメリット・デメリットも – 起業ログ (kigyolog.com)

文句のつけようがないくらい、むしろKxShareの為に書いてくれたのかと思うぐらいに分かりやすく説明された記事でございます。

是非ご覧いただき、LPSについてご理解いただければと思います…

ではなく!!笑

コチラの記事を引用しつつ、KxShareのファンド形態を例に出しながら、分かりやすくご説明していきたいと思います!

今回のコラムは金融にあまり詳しくない方でもご理解いただけるよう努めたコラムになります。
高度な文章でご理解いただける方は、以下2つをご参照いただくことを推奨いたします。

投資事業有限責任組合契約に関する法律 | e-Gov法令検索

投資事業有限責任組合とは | 行政書士トーラス総合法務事務所トーラス・フィナンシャルコンサルティング株式会社 (taurus-financial.com)

それでは参りましょう!

【LPSとは】

以下、投資事業有限責任組合契約に関する法律より引用です。
“この法律は、事業者に対する投資事業を行うための組合契約であって、無限責任組合員と有限責任組合員との別を約するものに関する制度を確立することにより、事業者への円滑な資金供給を促進し、その健全な成長発展を図り、もって我が国の経済活力の向上に資することを目的とする。”と第一条に記されています。
また第三条には”投資事業有限責任組合契約は、各当事者が出資を行い、共同で次に掲げる事業の全部又は一部を営むことを約することにより、その効力を生ずる。”と記されています。

文字を読むのが得意ではない方に小生なりの解釈をお伝えすると
組合というチームを作りましょう。そのチームに入るにあたって、お金(出資金)をお支払いください。そのお金はチームの目的(投資事業)に充てさせていただきます。運営はチームの代表者が行います。」といった具合です。

投資を行う為の同じ箱・同じチーム(組合)を作る。運営は責任者に任せる。

誤解を恐れずざっくり申し上げるならば、LPSはこのようなイメージになります。

【LPS設立の背景】

ここは投資事業有限責任組合法成立の背景 を読んでいただくのが早いです。笑

以下、小生の要約です。
「中小有責法」という前身の法律があり、投資のパターンが多様化したことにより、「投資事業有限責任組合法」を制定しました。これにより大企業への投資などベンチャーファンドの投資パターンは多様化した一方、投資知識を持たない投資家に対しても資金の融資を求めやすくなり、リスクを理解しないまま投資に参加してしまう投資家が増えました。

こういった投資家を保護するルールが必要となり、平成16年に「証券取引法等の一部を改正する法律」を成立させ、証券取引法における投資家保護ルールが適用されるようになりました。

【LPSのメリット】

LPSのメリットは主に以下の2つが挙げられます。
① 運用形態が「適格機関投資家等特例業務」の条件にマッチしている。
パススルー課税の恩恵を受けられる

それぞれを詳しく見ていきましょう。

① 運用形態が「適格機関投資家等特例業務」の条件にマッチしている。

通常、ファンドを組成する際には「金融商品取引法」により「投資運用業」ライセンスの登録が必要です。また、販売も自社で行うとなると「第二種金融商品取引業」への登録も同時にしなければなりません。
これらライセンスの登録には、膨大な時間や資金がかかり、かなりのリソースを割かなければならず、高いハードルになっています。

この高いハードルを下げてくれるのが「適格機関投資家等特例業務」です。適格機関投資家等特例業務の届出が認められれば、「第二種金融商品取引業」・「投資運用業」の登録を行わなくとも、条件付きでファンド組成と販売が可能になります。

通常よりもあらゆる面において低コストでファンド組成を行える、というわけですね。

② パススルー課税の恩恵を受けられる

こちらは最悪のケースを考えてご説明します。

組合で利益を出す。←ここでまず課税される。
その後、税金を差し引いた部分から組合員に分配する。←組合員個人でも分配の中から課税される。

お判りでしょうか。税金が二重に引かれていますよね?
LPSには法人格がない為、利益の分配を受けた構成員が課税対象となります。この時、LPSであれば課税は個人への利益分配後の1度だけです。これが「パススルー課税」と呼ばれるもので、LPSはその恩恵を受けられると言えます。

【まとめ】

LPS(投資事業有限責任組合)は国の定めた「組合」という型に則って、投資の判断者に任せた投資活動を行っています。

LPSを採用するメリットとしては、主に以下の2点が挙げられます。
① ファンド組成のハードルを下げてくれる適格機関投資家特例業務の条件にマッチしており、投資活動が行いやすくなる。
 =迅速かつ低コストでファンド組成を行える

② パススルー税制の恩恵が受けられる。
LPSには法人格がない為、利益の分配を受けた構成員が課税対象となり、課税は個人への利益分配後の1度だけとなる。

言葉を選ばずにまとめると

投資組合(ファンド)というのは、投資を目的としたチームを組みましょう、1人の資金だけでなく、みんなで投資しましょうといったイメージです。
これは、稼ぐことが上手な人にお金を預けて運用しましょうという考えに基づいています。

投資家(お金を出す人)も管理者(事業をする人)もメリットがある仕組みならお互いにハッピーですよね、と。
運用の利益は、お金を出してくれた人(投資家)に返して、お金を集めた人(管理者)は利益分に対して報酬を受け取る仕組みです。お金を出してもらっている分、責任は管理側で負います。

余談かもしれませんが、ポンジスキームや詐欺の場合、金融庁への届出や、こういったファンドの形態に関する説明・裏付けは無い場合がほとんどです。ご留意いただき、このコラムを読んでくださった方々がそういった類のものに巻き込まれないことを願って、本コラムの幕を閉じたいと思います。

暑い日が続きますので、お身体ご自愛ください。ほなまた!

引用
・投資事業有限責任組合契約に関する法律 | e-Gov法令検索
URL:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=410AC0000000090
・投資事業有限責任組合とは | 行政書士トーラス総合法務事務所トーラス・フィナンシャルコンサルティング株式会社 (taurus-financial.com)
URL:https://taurus-financial.com/lps/
・投資事業有限責任組合とは|組成のポイントやメリット・デメリットも – 起業ログ (kigyolog.com)
URL:https://kigyolog.com/article.php?id=678

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