未上場企業の評価算定方法3選

皆さま、こんにちは!
KxShare配席変更担当・東條です。
おかげさまで社員も増え、遂に二桁人数となりました。これもご支援いただいている皆さま方のおかげでございます。感謝申し上げます。
より一層頑張っていきますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。
さて今回のコラムテーマは「未上場企業の株価算出方法について」でございます。
こちらは小生のふとした疑問がきっかけでございます。「金融パーソンとしてそんなこと知ってて当然だろ!」というお言葉はそっと胸にしまっておいていただけると幸いです。
それでは参りましょう!
はじめに
非上場企業の株価算定方法は、いくつかの手法があります。以下の3つの手法が一般的です。
① 純資産法:会社の純資産をベースに株価算定を行う方法
② DCF法:企業の将来見込まれる収益をベースに株価を算定する方法
③ 類似業種比準方式:類似業界の相対的なデータに着目して株価を評価する方法
これらの手法は、非上場企業の株価算定において一般的に使用されます。ただし、株価算定は専門的な知識が必要であり、公認会計士やファイナンシャルアドバイザー等に依頼することが一般的となっております。
①純資産法
純資産法は、非上場企業の株価算定に使用される一つの手法です。この手法では、会社の純資産をベースに株価を算定します。純資産とは、会社の財政状態を表す貸借対照表に記載される項目で、株主から出資してもらった事業の元手と過去から蓄積された利益のうち内部留保されているものが計上されています。
純資産法は、以下の手順で株価を算定します:
1.会社の貸借対照表から純資産を抽出します。
2.純資産を発行済み株式数で割ります。
純資産法は、いわゆるPBR(Price to Book Ratio)をもとにした算出方法ですね。
PBRは、企業の純資産(資産から負債を差し引いたもの)を株式数で割ったものであり、企業の株価がその企業の純資産に対してどれくらいの割合で取引されているかを示す指標です。PBRが1未満の場合、株価が純資産よりも低く評価されていることを意味します。一般的には、PBRが1未満の企業は割安とされ、PBRが1よりも高い企業は割高とされます。
純資産法メリット・デメリット
純資産法の主なメリットは以下の3つです。
・実態に基づいた評価
…純資産法は企業の実態に基づいた評価が可能です。
・容易な算出
…財務諸表から容易に算出できます。
・客観性が高い
…他の評価方法と比較して客観性が高いです。
純資産法の主なデメリットは以下の3つです。
・将来の収益性を考慮していない
…純資産法は企業の実態に基づいた評価を行うため、将来の収益性を考慮していません。そのため、投資判断に不十分である場合があります。
・財務諸表上の情報に基づく
…純資産法は財務諸表から算出されるため、実際の企業価値と異なる場合があります。財務諸表上の情報だけで評価するため、他の要素や指標も考慮する必要があります。
・他の評価方法と比較して客観性が低い
…純資産法は企業の実態に基づいた評価を行うため、他の評価方法と比較して客観性が低いとされます。
純資産法やPBRは企業の評価方法の一つであり、他の指標や要素も考慮する必要があります。投資や金融に関する判断を行う際には、専門家のアドバイスや複数の指標を総合的に判断することが重要です。
②DCF法
DCF法は、将来にわたって生み出されるキャッシュフローを現在価値に割り引いて企業価値を評価します。 DCF法は学術的なファイナンス理論に裏打ちされ、理論上もっとも合理的な企業価値評価方法と言われています。この手法では、以下の手順で株価を算定します。
1.将来予測されるキャッシュフローを見積もります。
2.将来のキャッシュフローを現在価値に割り引きます。
DCF法は、将来のキャッシュフローを現在価値に換算することで、企業の現在価値を評価します。この手法は一般的には公認会計士やファイナンシャルアドバイザー等に依頼することが一般的です。
DCF法メリット・デメリット
DCF法の主なメリットは以下の通りです。
・客観的・論理的な評価
…DCF法は、会社が持つ「のれん」や将来に対する期待を反映する評価方法として合理的だと言われています。
・具体的な金額での評価
… DCF法では、売り手企業が生み出すフリーキャッシュフローを計算するため、買収する企業としては具体的な金額で買収のメリットを把握できます。
DCF法の主なデメリットは以下の通りです。
・事業計画の精度
… DCF法では、将来の予想収益を基に評価を行うため、対象とする会社の事業計画の精度が重要です。
・事業計画の信頼性
…事業計画が客観性に乏しく、信頼性の低いものであれば、算出される企業価値が大きく左右されるリスクがあります。
・市場価格との乖離
…DCF法は市場での取引価格を反映することができるため、市場価格との乖離が生じる可能性があります。
③類似業種比準方式
「類似業種比準方式」とは、非上場株式の評価方法の一つで、類似する業種の上場企業の株価を参考にして、非上場企業の株価を決定する方法です。この方法は、相続税申告においても使用されます。
類似業種比準方式メリット・デメリット
類似業種比準方式の主なメリットは以下の通りです。
・客観的な評価
…類似業種比準方式は、市場での取引価格を反映することができるため、客観的な視点からの評価が可能です。
・リアルタイムな比較
…類似業種比準方式では、リアルタイムでの比較が可能です。
・相続税対策に有利
…非上場株式の相続税や贈与税を計算する際に使用されるため、相続や贈与の際に有利な方式です。
・適用範囲が広い
…類似業種比準方式は、非上場株式の評価に広く適用されています。
類似業種比準方式の主なデメリットは以下の通りです。
・市場価格との乖離
…類似業種比準方式は、市場での取引価格を反映することができるため、市場価格との乖離が生じる可能性があります。
・比較対象の限定性
…類似業種比準方式では、比較対象となる上場企業を選定する必要があります。そのため、比較対象が限られている場合には、正確な評価が困難になる可能性があります。
・業界全体の不振
…類似業種比準方式は、業界全体の不振によって、非上場企業の評価額が低下する可能性があります。
まとめ
今回、非上場企業の株価算定方法を3つご紹介させていただきました。
いかがでしたでしょうか?
これらの手法は、非上場企業の株価算定において一般的に使用されます。ただし、株価算定は専門的な知識が必要であり、公認会計士やファイナンシャルアドバイザー等に依頼することが一般的となっております。
その道の方に聞いたところ、最も用いる手段は「③類似業種比準方式」だそうです。
類似業種比準方式を基本軸としたうえで、MA仲介の業者などは①純資産法も用いて算出しており、PEファンドや投資銀行のMAは②と③の総合値で判断している模様です。
個人的な見解ではございますが、③類似業種比準方式が、類似企業の選定こそ多少苦労しましたが、最も妥当な評価法なのかなと感じました。
9.10月はIPOが盛り上がる季節でございます。
自分で根拠を持った予想を行い、その企業の株価が自分の予想通りとなった時の高揚感はたまらんものがございますね…!
時間をかけたものこそ、悦びも比例しますね。小生も金融パーソンとしての深みに一歩踏み入れたような気がしております。
小生の学びが、本コラムを読んでくださっている方々の一助になっていることを願い、結びとさせていただきます。
季節の変わり目でございます。お身体ご自愛くださいませ。
ほなまた!
参考サイト
・非上場株式の株価算定方法まとめ!3つの手法と算定時の注意点も紹介 – KnowHows(ノウハウズ)
URL:https://knowhows.jp/content/3/28/242
・時価純資産法とは?具体的な計算方法も紹介します | ユニヴィスグループ (univis.co.jp)
URL:https://univis.co.jp/valuation/net-asset-approach/
・DCF法とは?計算方法やメリット・デメリットについて詳しく解説 | ユニヴィスグループ (univis.co.jp)
URL:https://univis.co.jp/valuation/dcf/
・「類似業種比準方式」による非上場株式の評価を分かりやすく解説 (chester-souzoku.com)
URL:https://chester-souzoku.com/succession/unlisted-evaluation-1862
・令和4年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について(法令解釈通達)|国税庁 (nta.go.jp)
URL:https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/hyoka/r04/2206/index.htm
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